株式が分散している場合の事業承継への影響について
会社設立の際に多くの方に資金援助を受けた会社や、役員や従業員のロイヤリティーを高めるため、自社株を一定数渡している会社のように、株式が多数分散している会社もあるかと思います。このような会社の場合、円滑に事業承継するために、会社の経営権たる自社株式を一定数以上集約しておく必要があります。
株式が分散したまま社長の相続を迎えた場合
例えば、株式の分散を放置したまま、社長の相続をむかえると・・・
社長の死をきっかけに相続争い等で会社経営に支障をきたす可能性が高くなります。また、後継者がおらず、外部に売却する場合でも、有る程度のまとまった株数がないと売却が上手くいかない可能性が高まります。
事業承継税制(納税猶予制度)の適用を受けたいと希望する場合にも、一定数の株式を後継者に集約することが必要となってきます。そのため、自社株式を集約する必要がありますが、第三者が保有する自社株式を購入する価格を決定しなくてはなりません。
会社オーナーと第三者との間で自社株式の売買を行う場合、通常、自社株式の時価を算定することになります。
自社株式の分散がまねくデメリット
自社株式が多くの株主に分散していると、経営意思決定のスピードが遅くなるというデメリットや、ことによると経営権を奪われるという危険性もあります。
事業承継以外の場合でも、一定数の株式は会社オーナーが保有しておきたいものです。
現在、株式が多くの株主に分散しており、事業承継をお考えの方は、承継のスキームを実行する前に、自社株の評価額や課税関係について専門家のアドバイスを受けることをおすすめします。
※この記事は2017年8月に公開し、2022年2月に加筆修正して再公開しています。
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