被相続人の配偶者が相続または遺贈により財産を取得した場合においては、配偶者の納付すべき相続税額について一定の金額が控除され、軽減されます。
これは、配偶者の相続後における生活や相続財産の維持形成に対する貢献等の事情に配慮して設けられている制度です。
なお、配偶者が相続放棄している場合であっても、遺贈により取得した財産やみなし相続財産・みなし遺贈財産については、この制度の適用があります。
内縁関係にある者は、ここで言う配偶者には含まれません。
適用要件
相続税の申告書(期限後申告書・修正申告書を含む。)を提出すること。
相続税の申告書には、この制度の適用を受ける旨を記載し、次の書類を添付する必要があります。
- 配偶者の税額軽減額の計算書
- 被相続人の全ての相続人を明らかにする戸籍謄本(相続開始の日から10日を経過した日以後に作成されたもの)または法定相続情報一覧図の写し
- 遺言書の写しまたは遺産分割協議書の写し(印鑑証明書添付)その他財産の取得状況のわかる書類
なお、この制度の適用を受けて納付すべき相続税額がゼロとなる場合であっても、相続税の申告書を提出しなければなりません。
相続税の申告期限までに遺産分割が完了していること。
分割されていない財産は税額軽減額の計算の基礎となる財産から除かれるため、相続税の申告期限までに遺産分割が完了していることが必要となります。
ただし、遺産が未分割の状況で申告書を提出する場合において、相続税の申告期限後3年以内に遺産を分割する予定であるときは、相続税の申告書に「申告期限後3年以内の分割見込書」を添付することによって、申告期限後3年以内に分割された遺産についてはこの制度の適用を受けることが可能です。
なお、この見込書を提出した場合、相続税の申告期限から3年以内に遺産を分割できなかったとしても、分割できなかったことにつきやむを得ない事情があるとして納税地の所轄税務署長の承認を受けたときは、3年という制限期間をさらに延長することができます。
税額軽減額の計算方法
その配偶者の納付すべき相続税額の計算上、配偶者の算出相続税額(暦年課税分の贈与税額控除額があるときは、それを控除した後の金額)を限度として、次の算式により計算した金額が控除されます。
①課税価格の合計額×配偶者の法定相続分
配偶者の法定相続分については、相続の放棄があった場合にはその放棄がなかったものとした場合における法定相続分とし、①の掛け算の結果が1億6,000万円に満たない場合は、1億6,000万円とします。
②配偶者の課税価格
配偶者の相続税の課税価格が、相続税の課税価格の合計額のうち配偶者の法定相続分に相当する金額または1億6,000万円以下であれば、配偶者は相続税を納める必要がありません。
※この記事は2017年10月に公開し、2022年3月に加筆修正して再公開しています。
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