名義預金について
名義預金とは、預金の名義人と実質的な預金の所有者が異なる預金のことを言います。
株式についても同様に名義株式とされるものがあります。
名義は被相続人のものでなくても、実質的に被相続人の預貯金と認められる名義預金については、被相続人の相続財産となります。
具体的にはどのようなものでしょうか?
本当は、被相続人(父)の預金ですが、単に名義だけを相続人(妻、子供、孫)の名義としている預金等のことです。
たとえば、子供に内緒で、親が子供名義の預金口座に貯めている貯金などがあります。
相続税との関係を教えてください
名義預金について、相続税の申告の際、通帳の名義人が被相続人ではないという理由で相続財産に含めずに申告をすると、税務署から申告もれを指摘されることになります。
申告もれを指摘されるとどうなりますか?
相続税が過少となっている本税のみならず、ペナルティとなる税金(延滞税・過少申告加算税など)も課されることになり、本来適正に申告納税していれば支払うことのない税金まで支払うことになります。
余計な税金を支払わないためにも、まずは名義預金に該当する判断基準を知る必要があります。
判断基準について教えてください
名義預金とみなされる判断基準は以下のとおりです。
① 預金の資金源が被相続人である
② 通帳・印鑑等の管理は名義人である相続人ではなく被相続人が行っている
③ 名義人である相続人が当該通帳の存在を知らない
④ 名義人となっている預金口座のお金を相続人が自由に使えない
⑤ 名義人が贈与を受けた認識がない
⑥ 贈与契約書がない
名義預金は税務調査で指摘されるのでしょうか?
実際の税務調査は、現金預金に重点を置いて行われています。
現金預金の調査で問題となるものは名義預金の存在です。
税務署はすべての金融機関に対して照会を行い、預金や株式の照会をすることができます。亡くなった方名義の預金はもちろんのこと、その親族名義の預金も調査しています。
したがって、安易に名義預金を相続財産から外すことは非常に危険を伴います。
通帳の名義が被相続人でなければ、相続財産にならず、節税につながると誤解されている方がいらっしゃいますが、名義預金を相続財産に計上しないことは、節税どころか本来支払う必要のない税金まで支払わなければならない結果となり、デメリットしかありません。
相続税の節税の仕方を教えてください
通帳の名義だけを被相続人以外にすることで相続税額を減少させるという、税務調査で指摘されるような手段を選ばずとも、合法で節税する手段はたくさんあります。
例えば、計画的な生前贈与プランや、不動産をお持ちの方であれば不動産法人化などがあります。
税理士法人朝日中央綜合事務所では、財産承継プランニング等を通じて納税者の皆様にとって最適な節税プランをご提供させていただいております。
※この記事は2018年4月に公開し、2022年3月に加筆修正して再公開しています。
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