海外を見渡すと、相続税のない国は多数ありますが、日本のように相続税のある国も存在します。
相続税のある海外の国としては、例えばアメリカ、イギリス、フランス、ドイツなどが挙げられます。
日本の相続税制では、相続または遺贈により財産を取得した者が無制限納税義務者である場合は、日本国内にある財産だけでなく、海外にある財産についても相続税が課されます。
そうすると、海外にある財産についてその財産の所在する国においても相続税が課されたときは、同じ財産に対して相続税が重複してしまうこととなりますので、このように国際的な相続税の二重課税を調整するための措置として、外国税額控除の制度が設けられています。
日本の相続税の計算に当たっては、相続または遺贈により財産を取得した者が次の適用要件をすべて満たす場合には、その者の納付すべき相続税額の計算上、一定の控除額が控除されます。
適用要件
(1)相続または遺贈(※)により、日本国外にある財産を取得したこと。
※相続開始年における被相続人からの贈与で生前贈与加算の対象となるものを含みます。
(2)その日本国外にある財産について、その財産の所在地国の法令により相続税又は贈与税に相当する税が課せられたこと。
控除額
次の(1)または(2)のうち、いずれか少ない金額が控除されます。
(1)国外財産の所在地国において課された税額(外国税額)
(2)次の算式により算出した金額
外国税額の邦貨換算にあたっては、原則として次の①または②のうちいずれか高い相場を用います。
①その外国税額を納付すべき日における対顧客直物電信売相場(TTS)
②日本から送金して外国税額を納付する場合における、実際の送金日の対顧客直物電信売相場(TTS)
ただし、実際の送金日がその外国税額を納付すべき日よりも著しく遅延する場合には、②を用いることはできません。
※この記事は2017年10月に公開し、2022年3月に加筆修正して再公開しています。
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