土地の上に存する権利には下記のように様々なものがありますが、ここでは地上権及び永小作権について説明します。
土地の上に存する権利の財産評価上の区分
土地の上に存する権利の価額は、次に掲げる権利の別に評価することとされています。
- 地上権(区分地上権及び借地借家法第2条に定める借地権に該当するものを除く。)
- 区分地上権
- 永小作権
- 区分地上権に準ずる地役権
- 借地権(下記の定期借地権等を除く。)
- 定期借地権、事業用定期借地権等、建物譲渡特約付借地権及び一時使用目的の借地権(定期借地権等)
- 耕作権(農地または採草放牧地の上に存する賃借権で一定のものに限る。)
- 温泉権(引湯権を含む。)
- 賃借権(上記の借地権、定期借地権等、耕作権及び温泉権に該当するものを除く。)
- 占用権
地上権の評価
地上権とは、他人の土地において工作物または竹木を所有するために、その土地を使用する権利をいいます(民法第265条)。
例えば、他者の土地の上に太陽光発電設備を設置するために、地上権が設定されることがあります。
地上権は他者の土地に対する使用権として強い効力を有し、財産的価値の認められるものとなり、これらの権利については次の算式によって評価します。
その権利の目的となっている土地の自用地としての価額 × 法定地上権割合
法定地上権割合については、その地上権の残存期間に応じ、次の(1)~(10)の通り定められています。
(1) | 残存期間が10年以下のもの | 5% |
(2) | 残存期間が10年を超え15年以下のもの | 10% |
(3) | 残存期間が15年を超え20年以下のもの | 20% |
(4) | 残存期間が20年を超え25年以下のもの | 30% |
(5) | 残存期間が25年を超え30年以下のもの 地上権で存続期間の定めのないもの |
40% |
(6) | 残存期間が30年を超え35年以下のもの | 50% |
(7) | 残存期間が35年を超え40年以下のもの | 60% |
(8) | 残存期間が40年を超え45年以下のもの | 70% |
(9) | 残存期間が45年を超え50年以下のもの | 80% |
(10) | 残存期間が50年を超えるもの | 90% |
永小作権の評価
永小作権とは、小作料を支払って他人の土地において耕作または牧畜をする権利をいいます(民法第270条)。
ただ、永小作権は昨今、ほとんど利用されていない権利と言われています。
永小作権についても、上記の地上権と同様の算式によって評価することとされています。
地上権または永小作権の目的となっている土地の評価
地上権または永小作権の目的となっている土地の価額は、その土地の自用地としての価額から、先述の通り評価したその地上権または永小作権の価額を控除した金額によって評価することとされています。
※この記事は2017年11月に公開し、2022年3月に加筆修正して再公開しています。
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