相続開始の時において、まだ保険事故が発生していない生命保険契約(掛捨てのものを除く。)で被相続人が保険料の全部または一部を負担していたものがあり、その契約に財産価値がある場合においては、契約者が被相続人であっても被相続人以外の者であっても、その契約に関する権利を評価する必要が生じます。
評価方法
相続開始の時においてまだ保険(共済)事故が発生していない生命保険契約に関する権利の価額は、相続開始の時において当該契約を解約するとした場合に支払われることとなる解約返戻金の額(※)によって評価します。
※解約返戻金の他に支払われることとなる前納保険料の金額、剰余金の分配額等がある場合にはこれらの金額を加算し、解約返戻金の額につき源泉徴収されるべき所得税の額に相当する金額がある場合にはその金額を減算した金額
なお、保険事故が発生しなかった場合に返還金が支払われない生命保険契約(いわゆる掛捨て保険で解約返戻金のないもの)については、契約者に返還金を受け取る権利(財産価値)がないため、評価額は付されません。
現実的には、生命保険契約に関する権利の評価をする必要が生じた場合には、その契約の引受先である生命保険会社等に対して照会を行い、解約返戻金の額等の情報を提供してもらうこととなります。
留意点
被相続人の死亡によって支払われる生命保険金等とは異なり、契約に基づく財産的価値を引き継ぐに過ぎませんので、生命保険契約に関する権利については、生命保険金等に係る相続税の非課税金額(上限:500万円×法定相続人の数)のように相続税の非課税財産となる金額が生じることはありません。
※この記事は2017年11月に公開し、2022年3月に加筆修正して再公開しています。
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