被相続人が上場株式を所有している場合、相続発生後に相続人が配当金を受け取ることがあります。この相続人が受け取ることとなった配当金は、相続財産に該当するのでしょうか。
結論から言うと、相続税がかかる場合と相続税がかからない場合があります。
今回は、どのような場合に配当金が相続税の課税対象となるか、を解説します。
相続財産となる配当金
配当金が相続財産に該当するかどうかは、「相続開始日」、「配当交付の基準日」、「配当確定日(配当金の支払日)」によって決まります。
大きく分けて以下の3つに分類することができます。
- 相続開始日が配当確定日(配当金の支払い日)の後
- 相続開始日が配当交付の基準日と配当確定日の間
- 相続開始日が配当交付の基準日の前
相続開始日が、配当確定日(配当金の支払い日)の後の場合
この場合は、被相続人の配当所得なので、相続税ではなく所得税の対象となります。相続人が配当金を相続発生後に受け取る場合は、被相続人の所得税の準確定申告をする必要があります。
所得税の準確定申告期限は、相続の開始があったことを知った日の翌日から4か月以内です。
相続開始日が配当交付の基準日と配当確定日の間の場合
この場合は、被相続人の相続財産となり、相続税の対象となります。
相続開始日が配当交付の基準日の翌日から配当金交付の効力が発生する日(配当金交付に関する株主総会の決議がある日)までの間は、「配当期待権」として評価されます。
また、配当金交付の決議から配当金受領日までの間は、「未収配当金」として評価されます。
相続開始日が配当交付の基準日の前の場合
この場合は、相続人の配当所得なので、相続税ではなく所得税の対象になります。相続人は受け取った日の翌年3月15日までに、相続人自身の配当所得として確定申告をする必要があります。
配当期待権の評価方法
配当期待権の価額は、課税時期後に受けると見込まれる予想配当の金額から、その金額につき源泉徴収されるべき所得税の額に相当する金額を控除した金額によって評価します。
予想配当金額―(1―源泉所得税率)=配当期待権の評価額
※この記事は2018年7月に公開し、2022年4月に加筆修正して再公開しています。
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