嫡出子と嫡出子でない子の違いについて
子は、嫡出子と、嫡出子でない子(以下,非嫡出子)に分けられます。
嫡出子は、結婚している男女の間に生まれた子をいいます。
非嫡出子は、結婚していない男女の間に生まれた子(不倫や内縁関係の間に生まれた子)をいいます。
非嫡出子は2つの立場に分かれます。
親に認知された子と、認知されていない子に分かれ、前者は父親からの相続権が得ますが、後者は法律上の親子関係がなく、相続人となりません。
Q.従来、相続において嫡出子と非嫡出子との間には違いがあったようですが、どのようなものだったのでしょうか?
A. 嫡出子と、認知された非嫡出子は相続分が異なりました。認知された非嫡出子の相続分は嫡出子の半分となっていました。
この理由は、民法上は法律上の婚姻関係にある夫婦から生まれた子を優先する法律婚主義を採用しているためです。
Q.民法が平成25年に改正されましたが、非嫡出子における改正内容を教えてください。
A. 従来から、嫡出子と非嫡出子について、同じ母親から生まれているにも関わらず不公平となっていることについて、日本国憲法の定める法の下の平等に反するという指摘がされていました。
そこで、平成25年9月4日最高裁判所の大法廷(最大決平成25年9月4日)によって、民法900条において嫡出子と非嫡出子で取り扱いが異なること(非嫡出子の相続分を嫡出子の相続分の2分の1とする規定)が法の下の平等を定める日本国憲法(14条1項)に反し違憲であるという判断がなされました。
これは、諸外国の状況や国民の意識の移り変わりを理由に、父母が婚姻関係になかったという、子としては自ら選択や修正する余地のない事柄を理由としてその子に不利益を及ぼすことは許されず、非嫡出子であっても個人として尊重し、その権利を保障すべきであるという考え方が確立されてきたことによるものでした。
なお相続は被相続人の死亡によって開始されますので、改正の内容は平成25年9月5日以後に亡くなった被相続人の相続について適用されます。
改正による影響を受けるのは、相続人の中に嫡出子と非嫡出子の双方がいる場合です。相続人となる子が嫡出子のみの場合や非嫡出子のみの場合では、子の相続分はこれまでと変わりません。
Q.最高裁判所の判決について何か注意点はありますでしょうか?
A. 最高裁判所は、民法に規定された非嫡出子の相続分を嫡出子の相続分の2分の1とする部分について、遅くとも平成13年7月当時において、法の下の平等を定める日本国憲法14条1項に違反していたとの決定をしました。
したがってそれ以前の相続には違憲判断は及ばないとしております。
また、平成25年9月4日までに相続開始した場合であれば、非嫡出子であっても、嫡出子と同じ法定相続の割合になりますが、この期間中に、遺産分割協議や裁判が終了しているなど、確定的なものとなった法律関係についてはその内容は覆らない判断もしています。
このように、従来は嫡出子と非嫡出子の間で法定相続分に違いがありましたが、最高裁の判決に従い、民法では非嫡出子の相続分が嫡出子の相続分と同等のものとして取り扱われるように改正が行われました。
※この記事は2018年3月に公開し、2022年2月に加筆修正して再公開しています。
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