個人以外の者が遺贈や贈与により財産を取得したらどうなるか
相続税・贈与税が課される人は、原則として個人です。
ただし、個人以外の者に対する遺贈や贈与によって租税回避が行われる恐れがあることから、一定の場合においては、遺贈や贈与で財産を取得したのが個人以外の者であっても、例外的に相続税・贈与税が課されることがあります。
そのようなケースとしては、例えば次の場合が考えられます。
財産を取得した者が人格のない社団等の場合
人格のない社団等の例としては、学術団体(法人化されていないもの)、マンション管理組合(法人化されていないもの)、学校のPTA、研究会やクラブなどが挙げられます。
人格のない社団等(代表者または管理者の定めのあるもの)に対して、財産の遺贈(遺言によるその社団等を設立するための財産の提供を含む。)や贈与があった場合には、その社団等が個人とみなされて、これに相続税・贈与税が課されることとなります。
ただし、公益事業の用に供する目的で、公益事業を行う人格のない社団等に対して財産の遺贈や贈与が行われた場合には、一定の要件を満たせば、その財産については相続税・贈与税の課されないものとして取り扱われます。
財産を取得した者が持分の定めのない法人の場合
持分の定めのない法人の例としては、一般社団法人、一般財団法人、学校法人、社会福祉法人、更生保護法人、特定非営利活動法人、宗教法人、持分の定めのない医療法人などが挙げられます。
持分の定めのない法人に対して財産の遺贈(その法人を設立するための財産の提供を含む。)や贈与があった場合においては、その遺贈や贈与が租税回避(※)のために行われたものと認められてしまうと、財産を取得した持分の定めのない法人(場合によっては、その法人の特別関係者)に対して相続税や贈与税が課されます。
※ここで言う租税回避は、その遺贈や贈与によりその遺贈や贈与をした者の親族などの相続税または贈与税の負担が不当に減少する結果になることを指します。
また、親族が理事の多数を占めるなど一定の要件を満たす一般社団法人・一般財団法人に対しては、その法人がもともと所有している財産について、理事の死亡時にその法人が個人とみなされて相続税が課されることもあります。
※この記事は2017年6月に公開し、2022年2月に加筆修正して再公開しています。
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