有効な遺言書があってもそれとは別の遺産分割をしてしまうことに問題は無いのでしょうか
被相続人が遺言で遺産分割について定めている場合、遺言は被相続人の最後の意思表示であり、最大限尊重されるべきもので、通常はその通りに遺産分割をします。
しかし、遺言は被相続人が単独で作成できるため、遺言者が良かれと思って書いた遺産の分け方が、相続人にとっては逆に望ましくないという場合もあります。
そのため、下記の条件を満たせば、遺言書の内容と異なる遺産分割協議をすることができます。
- 相続人が遺産分割を禁じていないこと
- 相続人全員が、遺言の内容を知った上で、これと違う分割を行うことについて同意していること
- 相続人以外の人が受遺者である場合には、その受遺者が同意していること
- 遺言執行者がいる場合には、遺言執行を妨げないか、もしくは、遺言執行者の同意があること
遺言書とは異なる遺産分割を行った場合の相続税の計算
遺言書がある場合に、相続人全員で遺言書の内容と異なった遺産分割をしたときは、受遺者である相続人が遺贈を事実上放棄し、共同相続人間で遺産分割が行われたとみるのが相当です。
したがって、遺言書とは異なる内容の遺産分割を行った場合であっても、遺言書の内容ではなく実際に行われた遺産分割の内容に基づいて相続税を計算することとなります。
その場合、受遺者である相続人から他の相続人に対して贈与があったものとして贈与税が課されることにはなりません。
しかし、一度行った遺産分割を再度やり直す場合は、基本的には相続人間の贈与となり、贈与税が発生しかねませんので注意が必要です。
※この記事は2017年9月に公開し、2022年2月に加筆修正して再公開しています。
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