相続税の申告をしなければならない人
相続又は遺贈(その相続に係る被相続人からの相続時精算課税適用財産に係る贈与を含む。)により財産を取得した者及びその被相続人に係る相続時精算課税適用者は、相続税の課税価格の合計額が遺産に係る基礎控除額(※1)を超える場合において、その者に係る納付すべき相続税額(申告要件のある特例規定の適用が無いものとして計算した場合における相続税額)があるときは、相続税の申告をしなければなりません。
※1.遺産に係る基礎控除額・・・3,000万円+600万円×法定相続人の数
よって、相続税の申告をしなければならない人(相続税の申告書の提出義務者)は、下記(1)又は(2)に該当する者です。
(1)納付すべき相続税額が生じた者
(2)申告要件のある特例規定(※2)の適用を受けた結果として、納付すべき相続税額が生じないこととなる者
※2.申告要件のある特例規定は、主に下記の規定です。
- 小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例規定
- 国等に対して相続財産を寄付(贈与)した場合等の相続税の非課税規定
- 配偶者に対する相続税額の軽減の特例規定
納税義務者が死亡した場合
相続税の申告書の提出義務者が、相続税の申告書の提出期限前にその申告書を提出しないで死亡した場合には、その者の相続人(包括受遺者を含む)が、その死亡した者の提出しなければならなかった相続税の申告書を、その死亡した者の納税地の所轄税務署長に提出しなければなりません。
相続税の申告書の提出期限
相続税の申告は、被相続人が死亡したことを知った日の翌日から10ヵ月以内に行わなければなりません。
例えば、被相続人が死亡したことを知った日が令和4年1月6日である場合には、令和4年11月6日が相続税の申告期限になります。
なお、この期限が土曜日・日曜日・祝日などに当たるときは、これらの日の翌日が期限となります。
相続税の申告書の提出先(納税地)
相続税の申告は、被相続人の死亡時における住所が日本国内にある場合には、その被相続人の死亡時における住所地を納税地として、これを所轄する税務署に対して行うこととなります。
住所地とは、住民票記載の住所ではなく、実際に被相続人が生活をしていた場所を指します。
なお、被相続人の死亡時における住所が日本国内にない場合には、次の(1)~(2)に掲げる提出義務者の区分に応じ、それぞれの場所を納税地として、これを所轄する税務署に対して行うこととなります。
(1)本来の提出義務者
- 相続又は遺贈により財産を取得した時において日本国内に住所を有する者は、その日本国内の住所地(日本国内に住所を有しないこととなった場合には、居所地)
- 相続又は遺贈により財産を取得した時において日本国内に住所を有しない者は、相続税法第62条第2項により、自ら定めた納税地(納税管理人の選任が必要です。またその申告がないときは、国税庁長官が指定・通知する納税地となります。)
(2)提出義務の承継者
上記(1)の提出義務者が相続税の申告書を提出せずに死亡した場合には、その死亡した者の死亡当時の納税地
相続税の申告書の提出義務があったのに提出しなかった場合
相続税の申告をしなければならないのにしなかった場合には、下記(1)~(2)の取扱いが考えられます。
(1)税務署長による決定
相続税の申告書を提出する義務があると認められる者がその申告書を提出しなかった場合には、税務署長がその調査により、相続税の課税価格及び税額を決定します。
ただし、決定により納付すべき相続税額及び還付金の額に相当する相続税額が生じないときは、この限りではありません。
(2)附帯税の発生
相続税の申告書を提出する義務があると認められる者がその申告書を提出しなかった場合には、納付すべき本税の他に、無申告加算税又は重加算税や延滞税が課されることがあります。
※この記事は、2017年7月に作成し、2022年2月に加筆修正したものです。
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