非上場株式の評価の方法③
前回「非上場株式の評価②」は、インカム・アプローチによる評価方法を紹介しました。
今回は非上場株式の評価方法のうちマーケット・アプローチによる評価方法につき述べたいと思います。
マーケット・アプローチとは
マーケット・アプローチとは上場している同業他社や、評価対象会社で行われた類似取引事例など、類似する会社、事業、ないし取引事例と比較することによって相対的な価値を評価する方法です。
マーケット・アプローチの欠点
マーケット・アプローチによる評価方法は、市場の取引環境の反映や一定の客観性には優れているものの、評価対象となっている企業固有の性質を反映できないという欠点があります。
マーケット・アプローチによる評価方法は、上場している企業の株価を利用したり、評価対象会社と類似している上場企業の株価を利用したりして株式の評価を行うのですが、過去の推移から判断して評価対象会社の業績と上場企業の株価が連動していない場合や、類似している上場企業が見当たらない場合には適用が困難になります。
上場企業の多くが事業を多角化しているのに対し、多くの中小企業では単一事業を行っていることからも、類似している上場企業を見つけ出すことは容易でないということをご理解いただけるかと思います。
非上場株式の相続税評価額を算定する際にも「類似業種比準価額方式」というマーケット・アプローチの考え方を用いた算定手法を用いていますが、実際には類似していないことも多いようです。
次回「非上場株式の評価④」は、非上場株式の評価の方法のうち、ネットアセット・アプローチによる評価方法につきより詳細に述べたいと思います。
※この記事は2018年8月に公開し、2022年2月に加筆修正して再公開しています。
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