遺留分の減殺請求を行った者の相続税申告
相続税の申告期限
遺留分の減殺請求により財産を取得したため、新たに相続税の納税義務者となった場合でも、その者の相続税の申告期限は、相続開始があったことを知った日の翌日から10月以内と原則通りです。
相続税の申告期限後に遺留分の減殺請求により財産を取得し、新たに納税義務者となった場合には、期限後申告書を提出することができます。
(すでに申告書を提出している者が遺留分の減殺請求により財産を取得した場合には、修正申告書を提出することができます。)
なお、遺留分の減殺請求により提出した期限後申告については、原則として無申告加算税は課税されません。
また、この期限後申告(修正申告)により納付すべき相続税に係る延滞税については、相続税の申告期限から期限後申告書(修正申告書)を提出した日までの期間は、延滞税の計算基礎となる期間に算入されません。
そのため、期限後申告書(修正申告書)の提出日までに、その申告により納付すべき相続税額を納付すれば、延滞税は課税されません。
相続税法上の特則
相続人のうち、遺留分の減殺請求をされたことにより財産が減少することとなった者は、その確定した日の翌日から4月以内に限り、すでに納付した相続税について更正の請求をすることができます。
税務署長は、この更正の請求に基づき相続税について減額更正をした場合において、その遺留分の減殺請求をしたことにより財産を取得した相続人が相続税の申告書を提出しないときは、相続税の時効にかかわらず、更正の請求があった日から1年を経過する日までは、その相続人の相続税について、決定をすることができます。この場合、相続税の本税の他に無申告加算税も課せられます。
留意点
- 遺留分の減殺請求権は、遺留分権利者が、相続の開始及び減殺すべき贈与又は遺贈のあったことを知った時から1年間行使しないときは、時効により消滅します。また、相続開始の時から10年を経過したときも、同様に消滅します。
- 税務署長は、相続税の申告期限から5年(不正行為等により相続税の課税を免れた場合には7年)を経過したときは、相続税について決定をすることができません。
※この記事は2018年6月に公開し、2022年3月に加筆修正して再公開しています。
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