「相続時精算課税制度」の適用を受ける財産につき課せられた贈与税がある場合には、相続時精算課税適用者の納付すべき相続税額の計算上、その贈与税の額(※)が控除されます。
(※) その贈与税の額については、贈与税の外国税額控除前の税額とし、延滞税、利子税、過少申告加算税、無申告加算税及び重加算税に相当する税額を除きます。
これは、相続税と贈与税の一体化課税という相続時精算課税制度の趣旨から設けられている措置です。
なお、相続税額の計算上、その贈与税の額に控除しきれない金額が生じた場合には、その控除しきれない金額の還付を受けることができます。
還付を受けるためには、相続税の申告書を提出する必要があります。
相続時精算課税制度における相続税額の計算
相続財産の価額および相続時精算課税適用財産の贈与時の価額を合わせた金額を相続税の課税価格として相続税額を計算し、精算課税制度による贈与税額を相続税額から控除し、又は還付します。
還付のための申告書
精算課税制度による贈与税額を相続税額から控除してもなお控除しきれない金額がある場合には、税額の還付を受けることができます。
この場合には、精算課税に係る贈与者の相続開始の日から5年を経過する日までに、還付を受けるための相続税申告書を提出する必要があります。
還付金が還付される場合には、相続開始日の翌日から10ヶ月を経過する日と、申告書の提出日のいずれか遅い日の翌日から支払決定等をする日までの期間に応じた還付加算金が加算されます。
その他の留意点
- 相続又は遺贈により財産を取得しない場合でも、相続時精算課税による贈与を受けている場合には、相続税の納税義務があります。
- 相続時精算課税の適用を受ける財産からは、債務控除をすることが可能です。
- 相続時精算課税適用財産は物納に充てることができません。
- 生前贈与加算された暦年贈与財産については、物納に充てることができます。
※この記事は2017年10月に公開し、2022年4月に加筆修正して再公開しています。
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