申告期限と納税期限
相続税申告が必要な方は、その相続の開始があったことを知った日の翌日から10ヶ月以内に相続税の申告書を提出しなければなりません。
相続税の申告書の提出先は、被相続人の死亡時における住所が日本国内にある場合、被相続人の住所地を所轄する税務署です。
財産を取得した人の住所地を所轄する税務署ではありません。
例えば、東京都千代田区霞が関にお住まいだった方が2022年1月1日に亡くなられた場合には、2022年11月1日が申告期限となりますので、その期限までに管轄の税務署である麹町税務署に申告書を提出しなければなりません。
お住まいの所轄税務署がどの税務署であるかは、以下の国税庁のホームページから検索していただけます。
▼国税庁ホームページ_税務署の所在地などを知りたい方 :
https://www.nta.go.jp/about/organization/access/map.htm
また、相続税の納税期限も上記の申告期限と同様となります。納税は、税務署や金融機関、郵便局の窓口、または、クレジットカード(1,000万円未満、かつ、ご利用になるクレジットカードの決済可能額以下の金額(決済手数料含む))、コンビニ(納付額30万円まで)などで行えます。
罰金
申告期限までに申告書を提出しなかった場合や、提出はしても税金を納期限までに納めなかった場合、実際に取得した財産の額より少ない税額で申告した場合などには、本来の相続税のほかに延滞税や加算税などのいわゆる罰金を科せられる場合があります。
今回は、この罰金について説明します。
罰金の種類
相続税に係る罰金には下記4つの種類があります。
- 延滞税
- 過少申告加算税
- 無申告加算税
- 重加算税
延滞税
延滞税とは、相続税の納期限までに相続税を納めなかった場合に課される税金をいいます。いわゆる利子に相当するものです。
延滞税額は、「未納税額 × 延滞税の税率 × 日数」により計算されます。
税率は、納税日が納期限の翌日から2月を経過する日まで、納期限の翌日から2月を経過した日以後の区分により異なります。令和4年の税率は下記の通りです。
納期限の翌日から2月を経過する日まで → 2.4%
納期限の翌日から2月を経過した日以後 → 8.7%
例えば、申告期限(=納期限)が2022年1月15日、相続税額が100万円の場合に、申告期限から3か月後の4月15日に納付した場合には、11,900円の延滞税が課されます。
① 納期限の翌日から2月を経過する日まで
未納税額100万円 × 延滞税の税率2.4% × 日数59日/365日
=3,879円
② 納期限の翌日から2月を経過した日以後
未納税額100万円 × 延滞税の税率8.7% × 日数31日/365日
=7,389円
③ ①+②=11,200円(100円未満の端数切り捨て)
過少申告加算税
過少申告加算税とは、期限内に相続税の申告書を提出した場合において、その申告書に記載された税額が過少であったときに課される税金をいいます。
ただし、税務調査の事前通知よりも前に納税した場合には、過少申告加算税はかかりません。
過少申告加算税は、「追加で納付すべき税額 × 過少申告加算税の税率」により計算されます。
税率は、下記の通りです。
- 税務調査の事前通知前に自主的に納税した場合 → 0%(課税なし)
- 税務調査の事前通知後から更正予知前までに自主的に納税した場合 → 5%(※10%)
- 更正予知後に納税した場合 → 10%(※15%)
(※)期限内申告税額と50万円のいずれか多い金額を超えるときのその超えた部分の税率
無申告加算税
無申告加算税とは、正当な理由なく申告期限までに申告しなかった場合に課される税金をいい、税額は、「納付すべき本来の相続税額 × 無申告加算税の税率」により計算した金額となります。
税率は、申告期限を過ぎて税務調査通知前に自主的に申告した場合、更正予知前までに自主的に申告した場合、更正予知後に申告した場合で異なります。
具体的には、下記の通りです。
- 税務調査の事前通知前に自主的に申告した場合 → 5%
- 税務調査の事前通知後から更正予知前までに自主的に申告した場合
→ 本来の相続税額のうち50万円以下の部分:10%
→ 本来の相続税額のうち50万円超の部分:15% - 更正予知後に申告した場合
→ 本来の相続税額のうち50万円以下の部分:15%(※25%)
→ 本来の相続税額のうち50万円超の部分:20%(※30%)
(※)過去5年以内に相続税で無申告加算税または重加算税を課されたことがある場合の税率
重加算税
重加算税とは、相続税を減らすために相続財産の隠ぺいや仮装をした場合に課される税金をいいます。財産があることを知らなかった場合などには適用されません。
例えば、死亡保険を受け取った場合に、その保険金が相続財産に該当することを知っていたにも関わらず、相続財産に計上しなかった場合などで、多くの場合、税務調査の際に発覚します。
重加算税の計算方法は、
「追加で計上すべき相続財産にかかる相続税の本税部分の税額 × 重加算税の税率」となります。
税率は、相続税申告をしていた場合としていなかった場合で異なります。
具体的には、下記の通りです。
- 相続税の申告書を提出していた場合 → 35%(※45%)
- 相続税の申告書を提出していなかった場合(無申告であった場合) → 40%(※50%)
(※)過去5年以内に相続税で無申告加算税または重加算税を課されたことがある場合の税率
以上のように、期限までに申告及び納税を行わないと本来の税金よりも多く支払うこととなります。
余分な税金を支払わないためにも、きちんと申告及び納税をすることが大切です。
※この記事は2018年8月に公開し、2022年4月に加筆修正して再公開しています。
最新の情報など詳しくは当事務所にお問合せください。