日本国内に住所がなくても相続税は課されるのか?
相続または遺贈により財産を取得した人が日本国内に住所を有していなくても、亡くなった人や財産を取得した人が日本国内に過去の一定期間住んでいたことがある等の条件を満たすと、相続税が課されます(相続税の納税義務が生じます)。
専門的には、相続または遺贈により財産を取得した人は、満たす条件によって(相続開始時において日本国内に住所を有していなくとも)非居住無制限納税義務者や制限納税義務者に分類されますが、大まかに言うと、その人が日本と一定程度の関わりをもっていたならば、たとえ外国に住んでいても日本の相続税が課されることになります。
少なくとも、日本に住んでいるか否かに関わらず、相続または遺贈により日本国内にある財産を取得した場合には、日本国内に住所がなくても相続税が課されると言えます。
逆に言えば、日本の住所はもちろん日本との関わりもなく取得した財産も日本に存在しない、というような状況でなければ、日本の相続税が課されずには済まないとも言えるでしょう。
住所が日本にあるかどうかは、どのように判定されるのか?
住所とは、その人の生活の本拠(人の生活の中心となっている場所)を言いますが、相続税の観点からは、ある場所が生活の本拠であるかどうかは住居の有無、日本国内の親族の有無、財産の所在や日本国外における職業の内容等の客観的事実に照らして判定されます。
また、ある人の日本国内の住所は同時に2箇所以上存在しないものとして取り扱われます。
なお、日本国籍を有する人や日本の永住許可を受けている人については、相続また遺贈により財産を取得した時において日本を離れている場合であっても、留学中で日本国内にいる人の扶養親族に該当したり、国外出張等で一時的に日本国内を離れているに過ぎないときは、日本国内に住所があるものとして取り扱われます。
※この記事は2017年6月に公開し、2022年2月に加筆修正して再公開しています。
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