寄付した財産の取扱い
原則として、相続または遺贈により取得した財産は相続税の課税対象となりますが、その取得した財産を国等へ寄付(贈与・支出)した場合などには、一定の要件を満たせば寄付した財産が相続税の課税対象とされない特例があります。
なお、相続または遺贈により取得して寄付した財産には、みなし相続(遺贈)財産も含まれますが、寄付するに当たっては、取得した財産そのものを寄付しなくてはなりません。
例えば、相続した株式を売却して得た金銭を国に寄付しても、この非課税の取扱いは受けられません。
▼寄付のイメージ
取得した財産を国等に寄付(贈与)した場合
この場合において、寄付(贈与)した財産が相続税の課税対象とされないための要件には、次の4つがあります。
- 相続税の申告期限までに、その取得した財産を国、地方公共団体または特定の公益法人等に寄付(贈与)すること。
- その寄付(贈与)により、その寄付(贈与)をした者(親族等の特別の関係がある者を含む。)の相続税または贈与税の負担が不当に減少する結果となると認められないこと。
- その寄付(贈与)を受けた者が特定の公益法人等であるときは、その公益法人等が、その寄付(贈与)のあった日から2年を経過した日においても特定の公益法人等に該当していること、その寄付(贈与)により取得した財産をその公益を目的とする事業の用に供していること。
- 相続税の申告書にこの非課税の取扱いを受けようとする旨を記載し、かつ、その寄付(贈与)した財産の明細書や一定の証明書類を添付すること。
取得した財産に属する金銭を特定公益信託の信託財産とするために支出した場合
この場合において、寄付(支出)した財産が相続税の課税対象とされないための要件には、次の4つがあります。
- 相続税の申告期限までに、その取得した財産に属する金銭を一定の条件を満たす特定公益信託の信託財産とするために寄付(支出)すること。
- その寄付(支出)により、その寄付(支出)をした者(親族等の特別の関係がある者を含む。)の相続税または贈与税の負担が不当に減少する結果となると認められないこと。
- その金銭を受け入れた特定公益信託が、その受入れの日から2年を経過した日においても一定の条件を満たす特定公益信託に該当していること。
- 相続税の申告書にこの非課税の取扱いを受けようとする旨を記載し、かつ、その寄付(支出)した財産の明細書や一定の証明書類を添付すること。
※この記事は2017年6月に公開し、2022年2月に加筆修正して再公開しています。
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