公社債とは、国や地方公共団体、事業会社等が投資家から資金を調達するために発行する有価証券(債券)です。
公社債のうち利付公社債は、約定に基づき定期的(年間の一定期日ごと)に利子の支払が行われる債券です。
利付公社債については、銘柄ごとに、下記の利付公社債の区分に応じて、それぞれの算式により計算した券面額100円当たりの価額に、券面額を100で除した数を乗じて計算した金額によって評価します。
なお、以下では相続税計算上の取扱いの説明をするため、課税時期が相続開始日であることを前提として説明します。
金融商品取引所に上場されている利付公社債
(相続開始日の最終価格+税引後既経過利息の額)×券面額÷100円
上記算式中の「最終価格」については、券面額100円当たりの金額とし、相続開始日の最終価格がない場合には、相続開始日前における最終価格のうち相続開始日に最も近い日の最終価格を用います。
なお、その利付公社債が国内の2以上の金融商品取引所(東京証券取引所、名古屋証券取引所、札幌証券取引所、福岡証券取引所のうち2つ以上の証券取引所)に上場されている場合には、東京証券取引所と納税地の最寄りの金融商品取引所の公表する最終価格のうち、低い方の価格を選択することができます。
また、その利付公社債のうち日本証券業協会において売買参考統計値が公表される銘柄として選定されたものについては、券面額100円当たりの金額の計算に際し、金融商品取引所が公表する「最終価格」と日本証券業協会が公表する「売買参考統計値(平均値)」のいずれか低い金額を用います。
そして、税引後既経過利息の額は、相続開始日における直前の利払期日の翌日から相続開始日までの日数に応ずる利子の額(券面額100円当たりの金額)から、その利子に係る源泉徴収税額相当額を控除して計算します(以下同様)。
日本証券業協会において売買参考統計値が公表される銘柄として選定された利付公社債(上場されているもの除く。)
(相続開始日の平均値+税引後既経過利息の額)×券面額÷100円
上記算式中の「平均値」については、日本証券業協会から公表された売買参考統計値(平均値)の券面額100円当たりの金額とし、相続開始日の売買参考統計値(平均値)がない場合には、相続開始日前における売買参考統計値(平均値)のうち相続開始日に最も近い日の平均値を用います。
その他の利付公社債(上記以外の利付公社債)
(発行価額+税引後既経過利息の額)×券面額÷100円
上記算式中の「発行価額」については、券面額100円当たりの金額を用います。
個人向け国債
額面金額+経過利子相当額-中途換金調整額
個人向け国債は、原則として個人のみが保有できる国債で、発行から一定期間(原則1年)の経過後においていつでも中途換金できるものであり、かつ、中途換金額がいくらになるか把握できる状態にあるものです。
このように高い中途換金可能性が確保されている個人向け国債については、取引価格等を容易に把握できる、金融商品取引所に上場されている利付公社債等と実質的に同様の性質を有すると考えられることから、相続開始日において中途換金(売却)することとした場合に受け取ることのできる金額(中途換金時の受取金額)により評価します。
この中途換金時の受取金額については、具体的には、財務省の公表する個人向け国債の「中途換金シミュレーション」サイトにて、個人向け国債の回号・中途換金実施日・中途換金する額面金額の情報を入力すれば、計算することができます。
※この記事は2017年12月に公開し、2022年7月に加筆修正して再公開しています。
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